伝統と格式を重んじる街、京都。
王城の文化は、千年にわたる歴史の中で洗練を極め、京で生きる人々は名実ともに長く日本文化の牽引者でした。更に言うなら、そこで生み出された伝統とは、あまた革新の結果に他なりません。その証拠に、茶陶を中心とした伝統工芸だけでなく、近代、我が国の工芸刷新運動の萌芽も、京都を舞台とするものでした。
大正末期、楠部彌弌、八木一艸らは、個性の表現を謳いあげ、長い陶工の歴史から、陶芸家として表現の自由を求めて赤土社を結成しました。
それから30年後の戦後まもなく。八木一夫や鈴木治を中心に結成された走泥社は、彫刻的な造形表現とやきものの魅力が一体になったオブジェを発表し、陶芸界における新しい価値を作り出しました。“前衛芸術”のメッカは、古都・京都であったのです。
ギャラリー「艸居」は、そうした近代以降の造形美溢れるオブジェや陶芸作品を中心に、とらわれのない価値観で、幅広い“美”のすがたを紹介いたします。また、これからの日本文化を担う方々と、その作品が美術として評価される取り組みを模索しつつ、あらゆる作品を真に価値ある芸術に昇華させるギャラリーでありたいと願っています。
京都古門前から「日本の美」を海外に発信し、日本の工芸が世界に自立し、評価されることも私たちの強い願いです。何より、美を感じる暮らし、美しいものに囲まれた暮らし、感動のある暮らしには、人間らしい本当の豊かさがあります。
日々の暮らしの中で美しいものを愛で、大切にすること。そうしたライフスタイルのご提案を通して、生活のかたわらに芸術があることの幸せを感じて頂けるギャラリーでありたい。
古き、また新しき美を求め、生活と芸術を一つに。
われわれ艸居の祈りです。(代表:藤田)