野田朗子:蓮と生きるー

艸居はこの度、野田朗子による企画展「蓮と生きる―」を開催致します。東京で広告代理店勤務後、ガラス工芸に魅せられビジネスの世界から一転、ガラス作家の世界へと飛び込んだ野田。東京で仕事に追われ多忙な生活を送った経験と、自然と文化のあふれる京都で過ごした幼少期との相反する経験から自身が感じ取った感覚を作品に投影し、精力的に制作活動を続けています。

 

彼女のガラス表現のテーマは「自然の気配と心のうつろい」。透き通ったガラスの中に季節の訪れやそれを感じる人の思いを写し、すべての生命の営みに通ずるもののあはれを表現しています。今回メインとなるのは東京藝術大学大学院の時から取り組んでいる蓮をモチーフとした作品。何千年と眠った種が芽吹き、泥の中でゆっくりと根を張り、まっすぐ葉を広げる。やがてまだ薄明るい夜明けにそっと花を開かせるも四日間で散ってしまう、そんな蓮の花の、凛としたうつくしさとはかなさ、そしてその一瞬の生命のゆらぎがガラスの中に封じ込められています。どこか祈りにも似た真摯で清廉な美しさが漂う野田のガラスの世界。日常の慌ただしさからふっと心を解き放つ、そんなひとときをお過ごしください。