京都 2025年7月5日 ― 艸居(古門前)では「あお」展を開催いたします。日本では、古来より緑色のものを青と呼んでいました。今日でも、青葉、青竹、青田、青虫、青リンゴ、青信号など、緑のものを青と呼ぶ習慣が残っています。本展では、青と称される藍から緑にかけての多様な色彩を持つ作品を展示し、どのように日本人が自然の中で生活を共にし、愛でてきたかを検証いたします。さらに、視野を国外に広げ、青という色彩が歴史の中でどのように受容・展開され、各地域の文化や社会においてどのような意味を担ってきたのかを考察いたします。
本展では、《高麗青磁茶碗》や《李朝初期粉青印花鉢》といった古典的な青の名品から、藤平伸《呉須一輪挿し》、河井寛次郎《青瓷筒描文皿》、濱田庄司《青釉流掛角盛皿》、清水卯一《藍青瓷鉢》など近代を代表する作家、さらには現在活躍する美術家たちによる青の表現まで、多彩な作品を一堂に展示いたします。
高麗青磁は、高麗王朝時代(918–1392)に栄え、中国・宋代の青磁から影響を受けながらも、独自の美意識と技術によって発展を遂げました。翡翠を思わせる淡い緑青、「翡色(ひしょく)」と称されるその釉調が大きな特徴です。出品作《高麗青磁茶碗》は、日本の茶道文化においても高く評価され、侘び寂びの精神と響き合いながら、数百年にわたって茶人たちを魅了し続けてきました。《李朝初期粉青印花鉢》は、李朝時代初期(15世紀〜16世紀前半)に作られた、淡い青緑色の釉薬をまとい、型押し文様が施された浅鉢であり、朝鮮陶磁の技術と美意識の結晶を示す重要な作品です。
「陶の詩人」と称された藤平伸の《呉須一輪挿し》は、造形と言葉のあいだを往還するかのような詩的感性に裏打ちされた作品です。素朴な造形と呉須による表現が見事に融合し、静けさと温かみが同時に感じられる造形美を実現しています。藤平は戦後陶芸における精神的豊かさと造形美の融合を体現し、独自の世界を築き上げました。
呉須は藤平の作品に欠かせない要素の一つで、主成分である酸化コバルトが還元炎で焼成されることで、藍青色や紫青色の美しい発色を生み出します。土の自然な質感は、呉須の透明感ある青と見事に調和し、作品に豊かな生命感を与えています。この融合は、藤平が陶芸を通じて表現しようとした自然と人間のつながりを象徴しています。
《青瓷筒描文皿》は、河井寛次郎が1930年代前半に制作した代表的な作品の一つです。この時期は、彼が柳宗悦らとともに「民藝運動」に深く関わり始め、京都・五条坂に構えた自らの工房で釉薬や装飾技法の探究に熱心に取り組んでいた創作期にあたります。本作では、青磁釉の素地に筒描技法による装飾が施されており、中国陶磁器に対する深い研究と、日本の民藝的価値観の融合が見て取れます。特に「用の美」や「無名の職人による美」といった理念を、独自の造形において体現しようとする姿勢がうかがえます。青磁の透明感と筒描きによる線の力強さが、作品にリズム感と独特の存在感を与えています。
湊茉莉の《エトルリア文化シリーズ c-IV》は、2021年3月から6月にかけて京都市京セラ美術館で開催した個展「はるかなるながれ、ちそうたどりて」から派生したもので、弥生時代晩期から古墳時代初期にかけての日本と同時期にヨーロッパで栄えた古代文化、エトルリア文化をモチーフとしています。本作には、2009年に信楽窯業技術試験場で開発された信楽透光土(とうこうづち)が用いられ、低温焼成によって生み出された美しい青が施されています。表面には、エトルリア文明の考古遺物である戦士像や、エトルリア文字が刻まれた石碑をモチーフとしたドローイングが描かれています。また、箔が焼け残った跡などに見られる繊細な風合いも、本作の見どころの一つです。
石井亨の糸目友禅には、「北斎ブルー(Hokusai Blue)」と呼ばれる鮮やかで深みのある青が用いられています。「北斎ブルー」とは、江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎(1760–1849)が作品に用いた顔料、ベロ藍(ベロリンブルー/ベルリン・ブルー)を指す近年の通称で、特に《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》などに見られる、透明感のある深い青がその象徴とされています。
太陽光を用いたシアノタイプ・プリントによって、レンズ越しに捉えた自然の風景を詩的に描き出す堀江美佳。手漉きの雁皮紙に浮かび上がるその風景は、日々刻々と変化し、決して同じ姿を見せることのない自然の移ろいを、青の濃淡によって静かに映し出します。
ジョン・メイソンは感情的・感覚的なインパクトとして、素材や表面が空間とどのように相互作用するかに強い関心を持っていました。青い釉薬は、粘土の触覚的かつ感覚的な特性を高めていました。青は、冷たさや静けさを想起させ、粘土の形態が持つ荒々しい物理的存在感と対照的であり、色と形の間に魅力的な緊張感をもたらしました。また、象徴的・文化的な連想における点において、メイソン自身が象徴的な意味を明示的に語ることはありませんでしたが、美術において青はしばしば「無限」や「内省」「深さ」を表す色とされます。これらの概念は、彼の反復や幾何学的構成による瞑想的秩序への関心(たとえば彼の数学的・幾何学的な壁作品に見られる)と一致しています。
アメリカの陶芸家トニー・マーシュは、実験的かつプロセス主導のアプローチで知られています。青は彼の作品全体で支配的な色として頻繁に登場するわけではありませんが、青を用いる際には、その使用は意図的で、概念的かつ素材に根ざしたものです。マーシュの作品における青は、静けさや内省といった感覚をもたらします。これは、彼の作品に見られる激しい表面の活動性(ひび割れ、層状の重なり、腐食など)と対照的です。青は、しばしば水や空といった自然の要素を想起させ、彼の器やオブジェによく見られる有機的・地質的なテーマと結びついています。マーシュは、結晶釉、酸化・還元焼成、素材の風化処理など、表面実験に深く取り組んでいます。マーシュは東洋哲学や儀式、考古学から影響を受けており、青は「純粋性」「超越」「聖性」といった象徴的意味を帯びる可能性があります。青が加わることで、彼の器は未知の起源を持つ遺物のような雰囲気を帯び、神秘性や精神性を感じさせます。
青はしばしば、神秘的な雰囲気や静かな緊張感、あるいは夢のような異世界的感覚を呼び起こします。シルヴィ・オーブレによる《Blue Pots》や《Blue Bougeoir》では、幻想的でハイブリッド、そして身体的な形態を通じて、青が感情のあいまいさや心理的な深みを際立たせる役割を果たしています。彼女の遊び心に溢れたフォルムとの対比により、作品には無邪気さと謎めいた雰囲気が表現されています。青釉は、豊かで深みのある多様な表情を見せ、その触覚的な質感は、即興的な手作業による起伏に富んだ不均一な表面を際立たせ、有機的で、まるで生き物のような外観を与えています。
本展「あお」は、日本古来の色彩観に根ざした「あお」の文化的背景を起点に、時代や地域を越えて展開された多様な青の造形表現を通観するものです。青は、静寂、内省、神秘といった精神的象徴を帯びながら、人間の自然観や精神性と深く結びつき、表現の領域を広げてきました。本展が、色彩を超えた「あお」という存在を再考し、鑑賞者の感性と記憶を呼び起こす契機となれば幸いです。
朝倉 美津子 (あさくら みつこ)
1950年、京都市中京区蟷螂山町に生まれる。戦後日本における染織文化と産業が最も隆盛を極めた時期に、染の中心地で育つ。1967年に関西美術院で美術の基礎を学び、1971年には京都精華短期大学(現・京都精華大学)染織コースの第一期生として卒業。その後、嵯峨に新設された織工房に勤務し、天然染料による糸染色のデータ作成を担当した。1977年には文化庁派遣芸術家在外研修員として欧州に渡り、オランダ王立美術大学に籍を置きながら、イタリアを含む各地で研鑽を積む。朝倉は一貫して、絹を中心とした天然素材の染色と織による造形に取り組み、鮮やかな色彩と織組織の多様性を活かした触覚的なタピストリー作品を展開してきた。近年は、織物を「折る」という日本固有の造形思想に基づいた「ORITATAMU」シリーズを展開し、織と造形の新たな関係性を提示している。日本の伝統技法と西洋のタピストリー文化を融合し、染織表現における革新的な可能性を追求する作家である。
石井 亨 (いしい とおる)
1981年静岡県生まれ。2014年、東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻博士後期課程修了。主な個展は、2011 年「project N46」オペラシティアートギャラリー(東京) 、2014年「Delirious Metropolis」大和日英基金ジャパ ンハウスギャラリー (ロンドン)、2018年「Metropolitan Moment」艸居 (京都)。主なグループ展に は、2013年「EDO POP」ジャパンソサイエティギャラリー (ニューヨーク、アメリカ);2016年「IMAYO」ホノルル美術館(ハワイ、アメリカ); 2017年「Light Sgraffito」ヴィクトリア&アルバート美術館 (ロンドン、イギリス);2022 年「小石景」二人展 艸居 (京都);2023年「KUROOBIANACONDA」AISHONANZUKA (香港)など。主なコレクションは、東京藝術大学美術館(東京)、ヴィクトリア&アルバート美術館 (ロンドン、イギリス)、モリカミ美術館(デルレイビーチ、フロリダ、アメリカ)。北海道立近代美術館(札幌市、北海道)2016 年より、文化庁新進芸術家海外研修員として、ロンドンに2年間滞在。受賞歴には、2011年 「イセ・カルチュラル・ファンデーション・学生美術展覧会」デイビッド・ソロ賞受賞、2013年「2013年度博士審査展」野村賞受賞。
打田 翠(うちだ みどり)
1983年兵庫県神戸市生まれ。大阪芸術大学工芸学科陶芸コース卒業後、多治見市陶磁器意匠研究所を修了。現在は岐阜県瑞浪市にて作陶を行っている。手捻りによって生まれる柔らかく存在感のある輪郭と、籾殻と共に炭化焼成することで生じる奥行きあるグラデーションが特徴。作品は、太古の地層やどこか懐かしい風景を想起させる。2011年第9回国際陶磁器フェスティバル美濃にて坂崎重雄セラミックス賞を受賞。
16代 永楽 善五郎 (えいらく ぜんごろう)(1917-1998)
1917年京都府京都市生まれ。1998年逝去、享年82歳。1933年京都市立美術工芸学校退学、1935年16代永樂善五郎を襲名。1936年三井高棟の大磯城山荘内に「城山窯」を築窯。1960年京都伝統陶芸協会 初代会長に就任。主な受賞歴に、1983年京都府文化功労賞、1985年文部省より地域文化功労者として表彰授与、1986年京都市文化功労者として表彰授与、1990年勲五等瑞宝章受章、1992年京都府文化賞特別功労賞などがある。
加藤 孝爾(かとう こうじ)
1959年愛知県瀬戸市で代々染付磁器を制作する窯元「真玉園」の八代目として生まれる。現在、愛知県瀬戸市にて制作。1980年武蔵野美術短期大学工芸デザイン科卒業。同年、京都炭山工芸村にて森里陶楽氏に師事し、三島手の技法を学ぶ。1985年郷里瀬戸で油滴天目の第一人者である父孝俊の元、作陶生活に入る。主な個展に、2009 年「瓷の耀き 瀬戸 加藤孝爾 作陶展」赤坂游ギャラリー(東京); 2018年「加藤孝爾陶芸展」瀬戸市美術館(瀬戸、愛知)など他多数。コレクションには、悠果堂美術館(沼津、静岡)がある。
上出 惠悟(かみで けいご)
1981年石川県生まれ。2006年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、家業の九谷焼窯元「上出長右衛門窯」を六代目として継ぐ。2014年合同会社上出瓷藝(かみでしげい)を設立。職人やデザイナーとのコラボ作品を制作する他、個人としても精力的に個展を開催している。作品は金沢21世紀美術館(石川)などにコレクションされている。
河井 寛次郎 (かわい かんじろう) (1890-1966)
1890年島根県安来市に生まれる。1966年京都にて逝去、享年76歳。陶芸家、彫刻家、デザイナー、書家、詩人、随筆家。1910年に東京高等工業学校(現・東京工業大学)窯業科へ進学。1914年の卒業後、京都市立陶磁器試験場に入所し、本格的に陶芸の道を歩み始める。1917年に試験場を辞し、五代清水六兵衞の顧問となり、1920年にはその窯を譲り受けて「鐘溪窯(しょうけいよう)」と命名、自らの創作活動を本格化させた。1921年には「第一回創作陶磁展」を開催し、以降、生涯にわたって作品を発表し続ける。作風は大きく三期に分けられ、初期は中国古陶磁に学び、中期は「用の美」を追求、後期はより自由な「造形」へと展開していった。1937年自宅を設計、実兄善左衛門を棟梁とする郷里安来の職人を呼び寄せて建築する(現在の河井寛次郎記念館/京都市東山区五条坂)。国際的にも高い評価を受け、1937年パリ万国博、1957年ミラノ・トリエンナーレでそれぞれグランプリを受賞。主なパブリックコレクションにはアサヒビール大山崎山荘美術館(京都);愛知県陶磁美術館(愛知);河井寛次郎記念館(京都);京都国立近代美術館(京都);国立工芸館(石川);日本民藝館(東京);東京国立近代美術館(東京)などがある。
熊倉 順吉 (くまくら じゅんきち) (1920-1985)
1920年京都生まれ。1985年逝去、享年65歳。1942年京都高等工芸学校(現京都工芸繊維大学)図案科を卒業。1957年に前衛陶芸のパイオニア的存在のグループ、走泥社の同人に。戦後、伝統的な陶芸が主流であった中において「真の伝統の担い手とは、社会に根差し、実験的で創造的な精神である」とし、ジャズの響きを土でうけとめようと試みるなど、新たな陶芸表現に取り組んだ。
清水 卯一 (しみず ういち) (1926-2004)
1926年京都生まれ。2004年逝去、享年77歳。1940年陶芸家石黒宗麿に師事。1947年前衛を目指す陶芸団体の四耕会の結成に参加。その他、緑陶会や京都陶芸クラブも結成。国内外の展覧会で10数回におよぶ様々な受賞をし、1985年に人間国宝(重要無形文化財「鉄釉陶器」の保持者)に認定。
シルヴィ・オーヴレ (Sylvie Auvray)
1974年パリ生まれ。現在、パリで制作。1993年モンペリエ芸術大学(フランス)卒業、1996年にシティ・アンド・ギルド・オブ・ロンドン・アートスクール(イギリス)にて学士を取得。主な個展に、2019年「Broom」Martina Simetiギャラリー (ミラノ、イタリア);2020年「Aux foyers」モリー・サバタ、アルベール・グレーズ財団(サブロン、フランス);2021年「野獣と箒」艸居(京都);2022年「マーガレット」SOKYO ATSUMI(東京)などがある。主なグループ展には2019年「La Musée」コミッショナー:アザド・アシフォヴィッチ、 ギャルリ・イタリアンヌ(パリ、フランス);2020年「All of Them Witches」Jeffrey Deitchギャラリー(ロサンゼルス、カリフォルニア、アメリカ);2023年「エマイユと身体」銀座メゾンエルメス フォーラム (東京);2024年 二人展 梅津庸一+シルヴィ・オーヴレ:「シルヴィとうめつ。おばけやしき?」艸居(京都) などがある。主なコレクションには、パリ市立近代美術館(パリ・フランス);Collection du Centre National des Arts Plastiques(パリ・フランス);総合文化センター「MÉCA」(ボルドー・フランス);Consortium Museum(ディジョン・フランス);FRAC Normandie Caen(カーン・フランス)などがある。
ジョン・メイソン (John Mason)(1927-2019)
1927年マドリッド、ネブラスカ州生まれ。2019年逝去、享年91歳。ロサンゼルスにて制作を行った。1954年にシュイナール・アート・インスティテュート(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ)、1956年にオーティス・アート・インスティテュート(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ)を卒業。主な展覧会には 1964年「現代国際陶芸展」東京国立近代美術館(東京)、京都国立近代美術館(京都);1971年「現代の陶芸:アメリカ、カナダ、メキシコと日本」東京国立近代美術館(東京)、京都国立近代美術館(京都);1973年(同2014年)「ホイットニー・ビエンナーレ」ホイットニー美術館 (ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ);1981年「陶の彫刻:6人の作家たち」ホイットニー美術館(ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ)、サンフランシスコ近代美術館(サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ);1990年「雄弁なオブジェ:現代アメリカ工芸の展開」東京国立近代美術館(東京)、京都国立近代美術館(京都);1994年「陶芸の今」愛知県陶磁美術館(瀬戸、愛知)、「KPMGピート・マーウィック米国工芸コレクション」スミソニアン・アメリカ美術館(ワシントンD.C.・アメリカ);2006年「オーティス:ロサンゼルス90年の美術」ロサンゼルス・カウンティ美術館(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ);2011年「パシフィック・スタンダード・タイム:アート・イン・ロサンゼルス 1945–1980」ゲッティセンター(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ)などほか多数。主なコレクション先は、愛知県陶磁美術館(瀬戸、愛知);京都国立近代美術館(京都);岐阜県立美術館(岐阜);国立台湾歴史博物館(台北、台湾);サンフランシスコ近代美術館(サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ);シカゴ美術館(シカゴ、イリノイ州、アメリカ);スミソニアン協会国立アメリカ美術館レンウィック・ギャラリー(ワシントンD.C.、アメリカ);ボストン美術館(ボストン、マサチューセッツ州、アメリカ);ミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザイン(ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ);メトロポリタン美術館(ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ);ロサンゼルス・カウンティ美術館(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ);ロサンゼルス現代美術館(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ)など他多数。
トニー・マーシュ (Tony Marsh)
1954年ニューヨーク市生まれ。現在ロンビーチ、カリフォルニア州に在住。1978年カリフォルニア州立大学卒業、美術学士取得。1978-81年島岡製陶所(益子、栃木県)にて島岡達三氏に師事。1988年アルフレッド大学ニューヨーク州立陶芸カレッジから卒業、美術学修士取得。近年主な個展に、2018年 「Crucible & Cauldron」艸居 (京都);2019年「Like Water Uphill」The Pitギャラリー (ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ);2021年「New Work/ Tony Marsh Project Room」ローラ・レイノルズ・ギャラリー (オースティン、テキサス州、アメリカ);2022年「Brilliant Earth – The Ceramic Sculpture of Tony Marsh 50 Year Survery」ロング・ビーチ美術館(ロング・ビーチ、カリフォルニア州、アメリカ);2024年「TONY MARSH: On the Could of Magellan」ローラ・レイノルズ・ギャラリー (オースティン、テキサス州、アメリカ)などがある。近年主なグループ展に 2020年「Sarah Amos | Tony Marsh」二人展、パトリシア・スウィートオウ・ギャラリー(サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ);2022年「The Endless Summer」アルベルツ・ベンダ・ギャラリー(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ); 2023年「Pollen on a West Wind 」キュレーション:トニー・マーシュ、ジェイソン・ジャック・ギャラリー(ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ)などがある。主なコレクションにはエバーソン美術館(ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ); クロッカー美術館(サクラメント、カリフォルニア州、アメリカ); サンフランシスコ近代美術館(サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ); デ・ヤング美術館 (サンフランシスコ、カリフォルニア州、アメリカ);ミネアポリス美術館(ミネアポリス、ミネソタ州、アメリカ)など多数がある。
濱田 庄司 (はまだ しょうじ) (1894-1978)
1964年神奈川県生まれ、1978年逝去、享年83歳。1916年東京高等工業学校(現東京工業大学)窯業科卒業。1920年、バーナード・リーチとともに渡英しセント・アイヴスで作陶。1924年帰国後京都河井寛次郎邸に2か月滞在後、栃木県益子へ居を移し以後活動の拠点とする。1926年柳宗悦、河井寛次郎らと民藝運動を推進。1955年第一回重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。1961年日本民藝館館長に就任。1968年文化勲章受賞。主なコレクションに、国立工芸館(金沢、石川);京都国立近代美術館(京都);国立西洋美術館(東京);日本民藝館(東京);濱田庄司記念益子参考館(益子、栃木);益子陶芸美術館(益子、栃木);大阪市立東洋陶磁美術館(大阪);岐阜県現代陶芸美術館(多治見、岐阜);ポーラ美術館(箱根、神奈川);ビクトリア アンド アルバート美術館 (ロンドン、イギリス);テイト(ロンドン、イギリス);メトロポリタン美術館(ニューヨーク、ニューヨーク州、アメリカ);ボストン美術館(ボストン、マサチューセッツ、アメリカ);シカゴ美術館(シカゴ、イリノイ州、アメリカ);ロサンゼルス・カウンティ美術館(ロサンゼルス、カリフォルニア州、アメリカ))などがある。
白 明(バイ・ミン)
1965年江西省余干生まれ。バイ・ミンは、中国現代陶芸界を代表する芸術家、教育者、キュレーターであり、清華大学美術学院の教授・陶磁器芸術学部主任、中国美術家協会陶芸委員会主任など多くの要職を兼任している。国際陶磁協会(IAC)会員でもあり、『中国陶芸家』雑誌の編集長としても活躍している。彼の創作は、伝統的な陶磁器技術と現代的な造形表現との融合を特徴とし、中国陶芸の再興を牽引している。作品には、青や赤の釉下彩、景徳鎮の高度な技法を基にした装飾的で洗練された器物と、彫刻的な要素を取り入れた抽象的な陶芸作品の二つの傾向が見られる。特に後者では、陶芸を彫刻素材として捉え、伝統との緊密な関係性を保ちながらも、機能性を超えた造形的探求を行っている。白明の作品は、東洋の美意識と現代芸術の対話を試み、古典と現代、形式と自由の間に新たなバランスを築こうとする姿勢が一貫しており、中国芸術における「伝統と現代性の統合」の模範的存在として国際的にも高い評価を受けている。
藤平 伸(ふじひら しん)(1922-2012)
京都の陶磁器生産の中心地、五条坂にある藤平陶器所(現、藤平陶芸)の次男として1922年(大正11)に生まれました。創業者であり父の藤平政一は、民藝運動の中心的作家であった河井寛次郎と深く親交を結び、進取の気風に富んだ陶工として知られました。「伸」という名は、「藤平の藤の花が大きく、力強く伸び広がってほしい」との願いを込めて、河井によって命名されたものです。30代より藤平陶芸の片隅をアトリエ代わりに陶器づくりを始め、1957年(昭和32)日展に「うたごえ」を出品し、特選・北斗賞を受賞。その後、日本陶磁器協会賞を受賞するなど評価を高めます。1973年(昭和48)に京都市立芸術大学教授に就任。1988年(昭和63)に名誉教授となる。
堀江 美佳 (ほりえ みか)
1984年京都府生まれ。現在石川県加賀市山中温泉を拠点に国内外で活動。2007年京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業、2009年ロンドンキングストン大学ファイン・アート修士課程修了。主な個展に 2018年「WATERFRONT II」trace (京都); 2019年「Life is a Circle」紙司柿本 (京都); 2022年「Trees, Water, and Light」IBASHO Gallery (アントワープ、ベルギー); 2023年「雪解け水」SOKYO ATSUMI (東京)、同年に「木、水、そして光」艸居(京都)などがある。主なアートフェアにパリ・フォト、フランス (2022);KOGEI Art Fair Kanazawa、石川(2022)などがある。
湊 茉莉 (みなと まり)
1981年京都生まれ。現在はパリを拠点に活動。2006年京都市立芸術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画修了。2009年パリ国立高等美術学校(エコール・デ・ボザール)ディプロマ取得。主な個展に、2025年「Néanderthalensis」L'H du Sièges芸術センター(バランシエンヌ、フランス); 2023年「Résurgences」ラ・ホール(ポン=アン=ロワイヤン、フランス); 2022年「あはうみのつちときおく、だいちとのたいわ」 SOKYO ATSUMI (東京)、同年「ながれ-あはうみの つちときおく」滋賀県立陶芸の森 (滋賀);2021年「はるかなるながれ、ちそうたどりて」京セラ美術館 ザ・トライアングル (京都);2019年「うつろひ、たゆたひといとなみ」、銀座メゾンエルメス (東京) などがある。主な参加プロジェクトとして2019-22年「Nemeton」ナンテール市野外劇場コンク(ナンテール、フランス) ;2018年「異文化交流」パリ国際大学都市内国際館・食堂(パリ、フランス)などがある。 近年、2022年オランダのアーティスト・イン・レジデンスEKWC (European Ceramic Work Centre)(オイステルウェイク、オランダ);2023年Château de la Napoule(ラ・ナプールファンデーション(マンドリュー=ラ=ナプール、フランス)、同年滋賀県立陶芸の森でも滞在制作を行う。
宮永 東山 (みやなが とうざん) (1868 - 1941)
1868年石川県生まれ。1941年逝去、享年74歳。1885年東京独逸全修学校卒業。1900年パリ万国博覧会開催時に七代錦光山宗兵衛と知り合い、帰国後京都に移って錦光山工場顧問に。これ以後、陶磁器の研究に取り込み、明治の京焼の改革に取り組んだ。1909年に伏見区深草にて東山窯を築窯。東山の陶号は幸田露伴が命名。