中村康平茶碗展 -観取-

中村康平は、金沢の陶芸家である二代目中村梅山の三男として生まれ、幼い頃より土に親しんで育ちます。1973年に多摩美術大学彫刻科を卒業後、陶芸による前衛的な作品制作に取り組み、独創性に富んだ装飾的な現代陶芸のオブジェを次々と発表。メトロポリタン美術館等のコレクションになるなど、日本現代陶芸界の旗手として国内外で高い評価を得ます。

 

こうした優れた造形力や創造性を持つ中村ですが、ここ10年ほどの間、井戸茶碗をはじめとする茶碗づくりに打ち込んでいます。オブジェ制作から茶碗への転向。その意味はどこにあるのでしょうか。

 

制作作法は「写し」から始まったといいます。しかし、中村の「写し」は単なる造形の模倣や複製ではなく、古器に倣い先人達に心を寄せることで茶碗というものの本質を掴み、それを自身の創作に昇華しようとする行為であり、そこには中村自身の思考や概念が映し出されていると言えるでしょう。中村は今「写し」を超えて、現代に生きる自身の茶碗を創造しつつあります。

 

関西のギャラリーでは初となる本個展にて、概念表現への挑戦として結実し生まれた茶碗20点をご紹介いたします。

また、オープニング前日35()13時より、通常は公開されていない臨済宗大本山建仁寺塔頭・両足院にて、選りすぐりのお茶碗を展示いたします。白砂と苔の美しい庭園を眺めながら、中村康平先生の作品をお愉しみいただける貴重な機会となっております。ぜひお気軽にお立ち寄りくださいませ。