日本における現代陶芸の始まりとして位置づけられる、走泥社(1948-1998)に川上は1964年に参加し、1998年までその一員として活躍しました。川上は、走泥社解散後も精力的に今日まで前衛陶芸を探求し続けてきました。走泥社の創始者である八木一夫も好んで使った黒陶を外見より中身を重視したいという思いから陶彫の素材として用い、作品を作ってきました。
これまで川上は、1980年代には権力の象徴を題材に、「座」や「椅子」に関連した作品を発表しました。またこの頃、林檎をテーマにした位相シリーズの制作も始まりました。その後、1990年代には「階段」や「門」に焦点を当て「門」のシリーズの作品を発表してきました。
具体、モノ派等の戦後美術に注目が集まり、走泥社で活躍した作家の諸先生にも改めて注目が集まる中、走泥社が生まれた京都で川上作品を約30点ご覧頂ける貴重な機会となっております。本展では、新たに制作された「距離」、「位相」、「面相」と題された作品を通じて、本年、81歳となる川上力三が創作で試みているものは何かをご高覧ください。