ロサンゼルスを拠点に活動しているモルギンは、未焼成の粘土を使用して、アメリカの子供なら誰でも読んだことのある絵本や、ドナルドダック、ヨーダ、ブラット・ピットなど、個人的または集団的な記憶を呼び起こすオブジェやアイコンを表した作品を制作しています。塗料、インク、グラファイト、マーカーを使い、風化し、使い古されてぼろぼろになった表面を作り出すことで、見る人のノスタルジーを誘います。
「私の作品は、物質の尊さ、気高さ、頑固さを表現した繊細なものです。荒廃し、衰滅することが決まっているにもかかわらず、必然的な終焉に抵抗しているのです。」
―クリスティン・モルギン
いくつかの作品には、ベニヤ板や段ボールの端切れのように見える粘土のオブジェが、実際の段ボールやベニヤ板の隣に置かれ、何が本物で何が作り物なのかがさらに分からなくなるようになっています。目くらましのようなモルギンの熟練した技巧の効果は、私たちを取り巻く物質に対する感覚を高め、おそらく世の中の物事に対する見方を変えてくれることでしょう。そして見れば見るほど、彼女の作品に真実を見出すことができるでしょう。
クリスティン・モルギン
1968年アメリカ、ジョージア州ブランズウィック生まれ。現在はカリフォルニア州ロサンゼルスにて制作を行う。1993年にカリフォルニア州立大学イーストベイ校(ヘイワード・カリフォルニア・アメリカ)にて美術学士取得、1997年にアルフレッド大学ニューヨークステート・カレッジ・オブ・セラミックス(アルフレッド・ニューヨーク・アメリカ)にて美術修士を取得。近年の主な個展は「SO IT GOES」A-Bプロジェクツ、スクリプス大学(クレアモント・カリフォルニア・アメリカ)(2016年);「My Best to You, Little Girl – Boy」アンソニー・マイヤー・ファイン・アート(サンフランシスコ・カリフォルニア・アメリカ)(2016年);「There’s No Need to Fear」マーク・セルウィン・ファイン・アート(ビバリーヒルズ・カリフォルニア・アメリカ)(2017年);「Jennifer Aniston’s Used Book Sale」フェリックス・アート・フェア(ロサンゼルス・カリフォルニア・アメリカ)(2019年)など。主なグループ展には「Thing: New Sculpture from Los Angeles」ハマー美術館(ロサンゼルス・カリフォルニア・アメリカ)(2005年);「Unmonumental: The object in the 21st Century」ニューミュージアム(ニューヨーク・ニューヨーク・アメリカ)(2007年);「Visions and Revisions: Renwick Invitational 2016」スミソニアン・アメリカ美術館(ワシントンD.C.・アメリカ)(2016年);「Interstitial」パサデナ・カリフォルニア美術館(パサデナ・カリフォルニア・アメリカ)(2017年);「Total Collapse: Clay in the Contemporary Past」アリゾナ州立大学美術館(テンペ・アリゾナ・アメリカ)(2020年);「A Dead Reckoning: Navigating Contemporary Ceramics」ペンスコーラ美術館(ペンスコーラ・フロリダ・アメリカ)(2021年)など他多数。主なコレクション先にはサンフランシスコ近代美術館(サンフランシスコ・カリフォルニア・アメリカ);スミソニアン・アメリカ美術館(ワシントンD.C.・アメリカ);ハマー美術館(ロサンゼルス・カリフォルニア・アメリカ);ロサンゼルス・カウンティ美術館(ロサンゼルス・カリフォルニア・アメリカ)など。受賞歴にはジョアン・ミッチェル賞(2005年)などがある。