⾋居では、⼒⽯咲の個展「アモルファス」を開催いたします。
⼒⽯咲は、「編む/ほどく」という⾏為を通して、もの・⼈・まちのつながりや変化を探る美術家です。⻑年の制作で1次元の⽷を絡ませて3次元の物体を編む⾏為を結晶形成に例え、豊富な残⽷を活⽤することで現代社会の資源の過剰さにも光を当てます。
本展のタイトル「アモルファス」は、個々の作品が結晶のように秩序を持つ⼀⽅で、展⽰全体として空間やギャラリー、⼈々などさまざまな要素と融合すると、無秩序な状態へと変化することに由来しています。
1次元の⽷から3次元の物体が⽴ち上がるように、私たちの世界も無数の粒⼦の結びつきによって形づくられています。⽇々の⽣活や情報の波に追われ、複雑さに押しつぶされそうになる現代社会。その只中で、⼒⽯は宇宙的な視点と物事の本質へのまなざしを⼿がかりに、世界をいったん解きほぐし、シンプルな「はじまり」を⾒つめ直します。⼈新世のチリともいえる余剰⽷を現代の資源として扱い、編むという⾏為によって新たな世界を再構築しようとする⼒⽯の試みは、めまぐるしい⽇常から静かに再出発するための⼀歩となります。
本展では、⽴体作品、「編み図」をモチーフにしたドローイング、ガラスと砂を⽤いた作品、砂の粒⼦が作る繊細な凹凸に微細な⽷の繊維が絡みついて定着する絵画に加え、亘理町⽴郷⼟資料館の協⼒によって地域の年中⾏事であった七⼣⾺とそこからインスピレーションを得た「ほどける⾺っこ」も展⽰いたします。これは、⼒⽯が「WATARI TRIPLE[C]PROJECT」にアーティストとして参加し、亘理町との関わりを通じて培った地域との対話を作品として表現する試みでもあります。
弊廊で初めての個展となるこの貴重な機会に、是⾮ともご⾼覧いただければ幸いです。
