堀江 美佳:「木、水、そして光」

堀江は京都で育ち、京都芸術大学で写真とデザインを学んだ後、ロンドンのキングストン大学へ留学します。帰国後の2013年より、石川県加賀市山中温泉を活動の拠点としています。住居兼アトリエである古民家近くの山から、高級和紙の原料として有名な雁皮(がんぴ)という植物を採取し、側に流れる天然水を用いて和紙を漉き作品の支持体としてきました。カメラで撮影をした後自身で漉いた和紙にプリントした作品は、海外の展覧会に参加するなど注目を集めています。19世紀に発明された古くからある写真方式「サイアノタイプ」を用いている点も堀江の作品の大きな特徴です。青一色で表現されるこの写真は、太陽光によって印画することができ、日本語の「青写真」という単語の語源にもなっています。

 

石川県の雁皮だけでなく、写真を現像する、和紙を漉くなどの作業に欠かせないきれいな水があることも制作において重要な事柄です。堀江の作品づくりにぴったりともいえる現在の環境に移り住んでから10年が経過しました。自然のうつろいを夢中になって撮影してきた堀江にとって、近年は万葉集の歌に出てくる日本古来の花や日本の織りや着物など、いつか途絶えるかもしれない日本文化を「学びたい、写したい、そして残したい」という強い思いを持ちながら生活・制作していると述べています。

 

太陽光で露光をする古典的写真技法と、地域に由来する手漉き和紙で表現する堀江の作品には美しさや儚さ、強さが共存しています。その青色の豊かな階調には、文化の違いや時間経過を忘れて没入してしまうような奥深さや郷愁を感じることができるでしょう。艸居では初の個展となるこの貴重な機会に是非ともご高覧いただければ幸いです。また本展に関連して、10月28日より国立京都国際会館にて開催されるArt Collaboration Kyoto(ACK)の艸居ブースにおいても堀江の作品を展示いたします。こちらもあわせてご覧いただきますようよろしくお願い申し上げます。

 

 

堀江美佳

1984年京都府生まれ。現在石川県加賀市山中温泉を拠点に国内外で活動。2007年京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業、2009年ロンドンキングストン大学ファイン・アート修士課程修了。主な個展に、WATERFRONT II、trace、京都(2018); Life is a Circle、紙司柿本、京都(2019); Trees, Water, and Light、IBASHO Gallery、アントワープ、ベルギー (2022)。主なアートフェアにパリ・フォト、フランス (2022);KOGEI Art Fair Kanazawa、石川(2022)などがある。

 

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