川端健太郎: Knee Bridge

川端健太郎は2000年に多治見市陶磁器意匠研究所を卒業。その後益子陶芸展賞、パラミタ陶芸大賞展をはじめ様々な賞を受賞するなど目覚ましい活躍を見せ、現代美術を扱う著名な海外のアートフェアやギャラリーにも出展するなど現代陶芸家として国内外で高い評価を集めています。

 

川端は今回展示される作品に対する試みとして「つながっているもの同士の間の部分、そこが気になっていて形にしてみたいと思った」と語ります。山あいの自然に囲まれた土地での制作や、サボテンや多肉植物の栽培を趣味としている川端にとって身近な草花に例えると、それは根と花の間の茎に当たる部分であり、人間の身体に置き換えれば手と肘とをつなぐ前腕や、腿と脛をつなぐ膝でもあります。

 

展覧会タイトルにある「Knee Bridge」とは頭の先や足の先をブリッジの姿勢でくっつける体勢を表しており、これは人体における膝のように何かと何かの架け橋となる存在、それを言い表す方法を探し求めていた際川端が出会った言葉です。ひも状の土の始めと終わりを繋げて積み上げていくという自身の作品制作過程にも通じ合うものがあったのだと川端は言います。

 

頭から発された信号がそれらの架け橋を通り指先に届く。川端の作品が放つ有機的かつ艶めいた表情、また磁土を成形する上での高度な技術力が光る細かな造形は、川端のその指先によってこそ立ち現れてくる唯一無二のものであり、見るものを引きつけます。

 

高い造形力によって生み出される造形に、創意工夫に満ちた仕上げの仕掛け、それを可能とする作家独自の感性が織りなす作品世界をぜひご高覧ください。

 

 

 

川端 健太郎(かわばた・けんたろう)

1976年埼玉県生まれ。1998年東京デザイナー学院陶器科を卒業、2000年多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在岐阜県にて制作を行う。

主な展覧会に「カルージュ国際陶芸展」(スイス、2003年)、「装飾の力」(東京国立近代美術館工芸館、2009年)、「京畿道世界陶磁ビエンナーレ」(韓国、2009年)、「カラー やきものの密かな関係」(岐阜県現代陶芸美術館、2010年)、「SOFAシカゴ」(シカゴ・アメリカ、2010年)、「現代陶芸現象展」(茨城県陶芸美術館、2014年)、「PUNK 工芸−魂の救済」(楽翠亭美術館、2016年)などがある。また「±8 — A Group Exhibition of Contemporary Ceramics」(SHOP Taka Ishii Gallery, Hong Kong、2019年)のキュレーションを行なっている。主な受賞歴は「織部の心作陶展」大賞(2001年)、「益子陶芸展」加守田章二賞(2004年)、「パラミタ陶芸大賞展」大賞(2007年)などがあり、またコレクションにはアナドル大学美術館(エスキシェヒール・トルコ)、益子陶芸美術館(益子・栃木)、土岐市(土岐・岐阜)、パラミタミュージアム(三重)、牛田コレクション(多治見・岐阜)、ミネアポリス美術館(ミネアポリス・ミネソタ・アメリカ)がある。