稲葉周子は滋賀県大津市に工房を構え、葉をモチーフに制作を行っています。他者を受け入れる様にして水をたたえ大地に横たわる葉の姿。そこに表現の出発点を見いだし、細い紐作りで形成される「葉器」と題した作品たちは、それぞれが個性を持っており、葉脈の流れや巻いた葉の先にはみずみずしい生命力や意思さえ感じられます。
打田翠は岐阜県瑞浪市で作陶を行う陶芸家。なめらかで存在感のある美しい輪郭線は手捻りによって生み出されるもので、表面のグラデーションは籾殻と共に炭化焼成させることで生じます。奥行きのある色の重なりは、どこか懐かしい風景や、太古から少しずつ時間をかけて形成された地層を想起させます。
東京の練馬区で作陶を続ける高橋奈己の作品は自然界に存在する種や実、花の蕾の美しいライン、生命力にあふれるフォルムから着想を得ています。鋳込技法を用い、シャープで柔らかな白さを持つ素材の力を借りて造り出される作品は、淡く美しい陰影と、曲線的でありつつもどこか凜とした佇まいが特徴的です。