思想家かつ宗教家の栁宗悦により1920年代後半に始まった、名も無き作り手達による普段使いの日用品の中に美を見いだそうとする民藝運動。この展覧会では、民藝のこれまでと現在を取り上げてご紹介します。

現代美術において、陶芸や織物などの民藝運動で重要な位置を占めていた分野の伝統的な技術が近年になって再発見されつつあります。そういった背景を受け、過去と現代の作品を並べて展示するという試みを本展では行います。

 

MINGEI NOWでは絵画、彫刻、陶磁器、織物、デザインを取り上げます。ニコラス・トレムブレイのキュレーションのもと、日本の民藝運動で活躍した作家達の作品と民藝に影響を受けた近現代の作家の作品を並列して展示します。

 

本展はトレムブレイの企画する民藝に関するプロジェクトの中では三度目の展覧会となります。2014年、ロンドンおよびニューヨークのペースギャラリーにて"Mingei are you here?" と題し開催された先の二つの展覧会は、博物館レベルの展示であると高い評価を得ました。

 

会場には濱田庄司、河井寛次郎、バーナード・リーチといった名匠の陶器作品から、李禹煥、ナツコ・ウチノといった現代の作家の作品が並びます。歴史の詰まった古い民具が、深澤直人やジャスパー・モリソン、そして栁宗理などの近現代のデザイナーによる製品達と対話を繰り広げることでしょう。

 

その他には、ほんの一例ですが、農民が用いた雨合羽や襤褸、アイヌ民族のアットゥシなどが、20世紀初期の沖縄の織物、朝倉美津子、ブレント・ワッデンといった現代の染織作家の作品と共に展示されます。また、民藝から影響を受けたマシュー・ルッツ・キノイによる絵画作品などが展示されます。

 

ニコラス・トレムブレイ