鯨虎 じょう: Amulet

プレスリリース

艸居(京都)では、鯨虎じょう個展「Amulet」を開催致します。土や釉薬などの素材と真摯に向き合い実験的なコミュニケーションを重ねて生み出される鯨虎の作品は、国内外の様々な展覧会に出展され、近年活躍の幅を広げています。艸居において初の個展となる本展覧会では新作の陶作品計34点を展示致します。

 

金彩や銀彩、網目状の絞り出しによる装飾が施されたカラフルでユニークな造形の作品は、鯨虎じょうの素材に対する飽くなき探求によって生み出されます。

多摩美術大学にて陶芸を学び、大学院修了の翌年である2019年には艸居にて二人展を開催。金属や石の粉、落ち葉、木の実、海水や貝殻といった異素材を混ぜた土を、粒状に絞り出し積み上げ焼成する独自の技法による作品を展示しました。

素材と向き合う中でその個性を発見し引き出す過程は、作家本人も知らない自分自身を発見することでもあると鯨虎は言います。作家と素材の間で行われる言葉のないコミュニケーションを通じて、現代社会のうねりの中生きる作家本人が現実をどのように受け入れ、何を身の在り処とするのか、その問いへの答えが作品の形へと結実しています。

今回の作品のモチーフとなっているのは、展覧会の通り「お守り」です。新型コロナウイルスの世界的な流行がもたらした影響は計り知れず、この新しい日常の中で人々は何を心の支えとしているのか。それは「癒し」であり、人によって異なる形をしていると鯨虎は考えます。

 

癒しは心のお守りだと考えています。

私にとっては我が家の猫が特別なお守りのような存在です。

猫ではなくても、あなたやわたしの心の中には、お守りがあるのだと思います。

それは、家族や恋人やペットかもしれないし、草花や景色、洋服やアクセサリー、ご飯やお菓子、スポーツ、アニメやゲームかもしれません。

そのお守りは、生きていく上で私たちの心の支えになっています。

鯨虎じょう

 

耳のような突起を持った展示作品はいずれも作家が実際に生活を共にしている猫や植物から影響を受けたものであると言い、粘土と釉薬を熱と重力に委ねて生まれる形や優しい色合いは、作品タイトルとなっている「リラックスしたかたち」にもつながり、作家が制作前にイメージしたという「ぐでん」「ぺちょん」といった言葉にも通じます。

素材を実験し、個性を発見してそれを引き出すことで作り出される鯨虎の作品を通じ、皆様がそれぞれに心に抱く「お守り」について思いを馳せていただければ幸いです。