ファ イバーアートの黎明期よりテキスタイルを用いた作品の 制作を続けてきた草間は、空間性のある立体的造形や、 平面と立体を横断する作品でファイバーアートの可能性 を押し広げてまいりました。
50〜60年代の欧州で生まれた、用途性から脱却し たテキスタイルアートの新しい潮流はアメリカへと広が り、ファイバーアートとして新しい展開を迎えます。大 学卒業後の草間は、レノア・トーニーなど革新的な作家 の動向に触れ渡米を決意、70年代を通してその芽吹き を渦中で体験しました。帰国後ファイバーアートの旗手 として、国内外で様々な展覧会、コンペティションに参 加し、高い評価を得てきました。
構造、スケールの点で、美術館などと異なる空間、特 に公共空間への作品の展開にも力を入れており、鑑賞者 が空間構造を改めて再認識したり、空間そのものを再構 築してしまうような大胆な作品が多数公共展示されてい ます。
近年、より立体的な表現を求めて、樹脂やステンレス に直接糸を巻きつけるコイリング技法を用いて、 「OPTICAL ILLUSION」というコンセンプトのもと作 品制作しており、今展では新作20点を出展致します。 黑色アクリル板の一端から生え出てきたような色とりど りのファイバーが、もう一端へと向けて、うねり、捻ら れながら流れを生み、単色の線でありながら多彩な面を 構成し、角度によって様々な表情を見せる、緊張感のあ る造形作品群です。