2014年にイタリア ミラノ近辺で現代マヨリカを制作するファウスト・サルビが来日しました。 滋賀県立陶芸の森に招聘作家として1ヶ月程滞在したからです。そこで制作した作品をどこかで発表しようと弊廊を見つけて、立ち寄って下さりました。それがファウストとの出会いの始まりです。
その後、何度か個展でお世話になりました。今展で3度目となります。
独特なマヨリカの色合いと低温焼成の肌触りが、ここが日本であることを忘れさせてくれます。イタリア人気質に満ちたユーモア溢れる作品です。
松井利夫先生との出会いはファウストが導いてくれました。両者は韓国のビエンナーレでルームメートでした。 それ以前に松井先生は1989年にイタリア政府給費留学生としてイタリア国立ファエンツァ陶芸高等教育研究所に留学していました。そこは、10年後の1990-1992年にファウストが勉強しに来た同じ研究所です。
松井先生は京都造形大学で空間デザインを教えておられます。初めてお会いした時も、「私は陶芸が嫌いです。」と仰られたのでてっきり空間デザイナーだと思っていました。 手土産に御倉屋の夕ばえをお持ちしました。「釉映え」と思われたようで、やはり陶芸作家なのです。しかし、先生の作品は陶芸臭くなく実験的で概念に本意を置いています。
今回はTEA FOR TWO 。 全く作品に接点のない2人が、友情という繋がりだけで展覧会をしました。京都で2人が再開し、一緒にお茶を飲む。
アートの本論はそこにあるのかもしれません。
このような友情から広がる展覧会は今後も続けて行ければと思います。
⎯⎯⎯ 艸居 ディレクター 藤田篤実