高津は岐阜県瑞浪市を拠点に、作品と環境との対話性を感じさせる独創的な作品を制作、 発表してきました。一見すると貝類の中身のような形状の柔らかなラインは艶かしくも あり、女性のラインのようでもあり、観る者の想像力をかき立てます。幼少期よりやき ものに親しみ、大学では彫刻を専攻し、土の可塑性と焼成の変化に依拠した焼き物をつ くることへの抵抗をもちながら、土の素材性と対峙し、独自の生命感溢れる作風を確立 してきました。高津が大学院生の時には、粘土を使った造形物を鋳物に置き換えたピー ターヴォ―コスの作品写真をみて、「やきものをやる意味」について考え、自身が土の 可塑性と焼成の変化を選んで歩んできたと自覚したといいます。高津が理想とするのは、 手からつむぎ出される、植物が成長するように環境と遺伝子レベルの生命力を感じさせ る作品といいます。
1976 年生まれ。岐阜県瑞浪市にて制作。神戸ビエンナーレ現代陶芸コンペティション 准大賞受賞、国際陶磁器フェスティバル美濃銅賞受賞、ファエンツァ国際陶芸展入選、 日本陶芸展毎日新聞社賞受賞、KOBE ビエンナーレ 2011 現代陶芸コンペティション 審査員特別賞受賞等。
1992 年生まれ。愛知県みよし市にて制作。金沢・国際工芸トリエナーレ入選、国際陶 磁器フェスティバル美濃入選、女流陶芸展京都府知事賞受賞等。
山口は、愛知県みよし市を拠点に、土台となる壷に薄いヒダを一枚ずつ上から貼るとい う行為を通じて、人間の手で作った自然の形を鑑賞者に提示し、感じとって欲しいとい う想いで制作してきました。その作品は、重なったヒダと土色の粗い表面と相俟って観 る者に「自然物なのか人工物なのか」と問いかけます。山口は、自然界にあって地球が 作り出した、同じような形態が細かく密集している形態を見るのが好きで、例えば蜂の 巣や植物の種子、密集したヒダはそれらへの憧れのようなものが現れているのだといい ます。ヒダは飾りではなく、形態に沿う、体毛のようなもので、なくてはならないもの という想いでヒダを重ねていく。そして、ヒダを貼る行為は化粧をする事や装いを決め る事に少し似ている事に気付き、私を構成する要素の1つで、私が作るものだからこれ でいいのだ、と思えるようになったといいます。