艸居では、中島晴美の個展を開催いたします。本展は、2020年に艸居で開催した「中島晴美:50年の軌跡」に続く2回目の個展となり、陶による表現を始めた頃の初心に立ち返って制作した新作約15点をご紹介いたします。
あわせて、1970年代から現在に至るまでの重要な作品を展示し、中島晴美の長年にわたる制作の軌跡と、現在へとつながるその造形の探求をご覧いただける機会となっております。
中島晴美は半世紀以上にわたり粘土による造形表現を追求してきました。大阪芸術大学在学中に走泥社の作品と出会い、器としての用途を離れたその表現に衝撃を受けました。中島は、走泥社の熊倉順吉に学びながら、自身の内面と向き合い、独自の造形を模索してきました。
中島の作品には幾何学と有機、秩序と増殖、制御と衝動といった、相反する要素が共存しています。中でも、中島を象徴する表現として知られるのが、白磁の表面を無数の青いドットが覆い、球状の形態が連なりながら増殖していく作品です。緻密な手仕事によって形を構築しながら、その形態を連ね、膨らませ、増殖するように展開させていく。そのせめぎ合いは、中島の制作を長年にわたり貫いてきました。
一方、制作と教育を続ける中で、中島はいつしか「工芸」「デザイン」「現代美術」といった理屈が先に立ち、焼き物を始めた頃の初心を忘れていたと振り返ります。若い学生や研究生たちが夢中で制作する姿に触れることで、改めて呼び起こされたのは、若き日の制作への情熱でした。
「これからは、評価より、我儘に、やりたいことをやってみよう」
その思いから生まれたのが、今回発表する新作《有機的になる直方体》です。幾何学的で論理的な「直方体」という形に、どのように有機的な気配が生まれるのか。そこには、若き日から形と向き合い続けてきた中島が改めて自身の感覚に立ち返り、自由に造形を試みる現在の姿が表れています。
半世紀以上にわたり制作を続けてきた中島が、いま何をつくろうとしているのか。本展では、新作とともに、これまでの制作の起点となってきた過去作を通して、これまでの歩みを振り返りながら、再出発を迎えた中島の現在をご覧いただきます。
