シルヴィ・オーヴレ: 「マーガレット」

東京―SOKYO ATSUMIではパリ在住の美術家、シルヴィ・オーヴレの個展「マーガレット/ Marguerites」を開催いたします。本展覧会では今秋より滋賀県立陶芸の森(滋賀県、甲賀 市)でのアーティスト・イン・レジデンスにて制作したセラミックの最新作とパリで制作した大 型ペインティング3点を展示いたします。 

 

オーヴレは絵画からキャリアをスタートさせ、その後は彫刻、セラミックと表現の幅を広げて きました。これまで、パリ市立近代美術館(パリ)、ガゴシアン・ギャラリー(ジュネーヴ)、ダイ チ・プロジェクト(ロサンゼルス)での展示など国内外の権威ある美術館、ギャラリーで展示 し、高い評価を得てきました。また、ドナルド・ジャッドが設立したチナティ財団のアーティス ト・イン・レジデンス(マーファ、テキサス)に参加し、アメリカを代表する彫刻家であるジョン・ チェンバレンの作品と共に展覧会を開催するなど、常に新しい試みに挑戦しています。 

 

2021年の艸居(京都)で開催した日本での初個展「野獣と箒」では、作家が継続して取り組 んでいる箒をモチーフとした作品やドローイングを中心に発表しました。「野獣と箒」は、日 常的に使われている箒やオーヴレが日常生活を通して美しいと感じた身近な木々などの素 材とセラミックを組み合わせ、ピノキオなどの紙芝居、コンメディア・デッラルテなどのキャラ クターを引用するなど、オーヴレらしい知的でユーモア溢れる展覧会でした。 

 

展覧会タイトルの「マーガレット/ Marguerites」は今回の日本滞在においてオーヴレがパリ から持参したアンティークのマーガレットの花形をしたお皿に起源をなしています。マーガ レットの形をした大皿や、花柄を引用したオブジェなど、陶芸の森の登窯で焼成され、信楽 焼という窯場の歴史や表情をとらえた本展ならではの面白さを伝えています。 

 

本展の核をなすセラミック作品《野獣/Beast》は、彼女が長年大切に身近な存在として抱い ている想像上の動物がモチーフとなっています。恐ろしさよりも愛らしく少しおどけた野獣 は、イマジナリーフレンドのような存在であるとオーヴレは述べます。 

 

「私の作るセラミックの野獣は、幼少時代に手から離さずずっと持っていたぬいぐるみから 派生しているのです。」 

 

オーヴレは長年《野獣/Beast》を発表してきましたが、本展では初の試みとなる180cm超の 大型オブジェを制作し迫力溢れる展示となっております。野獣シリーズの他にも、壺やマラ カスを連想させるセラミックと木を組み合わせた新作も展示いたします。陶芸のコントロール しきれない「火に委ねる」という行為を作品の要素として取り入れるオーヴレの造形表現 は、不思議なフォルムや表現の中に神秘性を帯びています。 

 

抽象的な陶芸を先駆したピーター・ヴォーコス、ベティ・ウッドマンを含んだキュレーション展 Fire and Clay」に参加するなど、オーヴレもその系譜を汲むアーティストの一人であると考 えられています。世界でも注目を集めるセラミックの現代アートを牽引するオーヴレの最新 作をこの機会にどうぞご高覧ください。

 


シルヴィ・オーヴレ

1974年生まれ。現在パリに在住。1993年にモンペリエ芸術 大学(フランス)を卒業、1996年にシティ・アンド・ギルド・オブ・ロンドン・アートス クール(イギリス)にて学士を取得。主なコレクションには パリ市立近代美術館(パリ・ フランス)Collection du Centre National des Arts Plastiques(パリ・フランス)、総合文化 センター「MÉCA(ボルドー・フランス)などほか多数。

  

主な個展には「Rings」ギャルリ・フランチェスカ・ピア(チューリッヒ・スイス) 2015年、「 Johnʼs feet」チェンバレン・ビルディング、チナティ財団(マーファ・テキサス、アメリ
)2016年、「Les Cambuses」ギャラリ・ローラン・ゴダン(パリ・フランス) 2019年、「Aux foyers」モリー・サバタ、アルベール・グレーズ財団(サブロ ン・フランス) 2020年 など。「野獣と箒」艸居(京都) 2021年 を開催。

  

近年のグループ展には、「Nouveau Festival」ザビエル ・ドゥルー、パントゥー ル・パルレ(パリ・フランス) 2009年、「Medusa」パリ市立近代美術館(パリ・フランス) 2017年、「Citoyennes paradoxalesFRAC シャンパーニュ・アルデンヌ・コレクション、 トー宮殿(ランス・フランス) 2018年、「Fire and Clay」ガゴシアン・ギャラリー(ジュ ネーヴ・スイス) 2018年、「La Musée」コミッショナー: アザド・アシフォヴィッチ、 ギャルリ・イタリアンヌ(パ リ・フランス) 2019年、「All of Them Witches」ジェフリー・ダ イチ・ギャラリー(ロサンゼルス・カリフォルニア・アメリカ) 2020年 など。 アーティスト・ イン・レジデンスにチナティ財団(マーファ・テキサス・アメリカ) 2016 年、セラミック・アー ツ・プログラム、カリフォルニア州立大学、ロングビーチ校(カリフォルニア・アメリカ) 2017年と2019年。

 

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