艸居では、成田輝の個展「最小限の断片」を開催いたします。成田は、彫刻や絵画を 手がける現代美術家です。アニメや玩具を思わせるキャラクターを用い、ポップさの 中に不気味さを織り込み、独特の世界観を表現する作風で知られています。
成田はこれまで、frp や mdf を利用し、作品制作を行ってきました。今回の個展にあ たり、艸居から「環境に配慮した展示」の制作の依頼を受け、成田は新たな試みとし て、環境負荷に配慮した素材を積極的に取り入れた新作を制作、本展にて発表いたし ます。中心となるのはぬいぐるみの作品群です。彫刻家としての自身の立ち位置を再 考する過程で、平面的なイメージからいかにして立体を立ち上げるかという問いに至 り、その実践として展開されたシリーズとなります。
私たちは物体を三次元の存在として認識しているようでいて、実際には正面や背面と いった断片的な視覚情報を接続することで像を補完しています。成田はこの知覚の曖 昧さ、いわば視覚の“バグ”のような感覚に着目し、制作を行っています。 本展では、あえて「正面」と「背面」という二つの断片的な形に情報を絞り込み、そ れを三次元の空間に配置します。 情報や物質が過剰にある現代において、要素を削ぎ落とし、最小限の断片から物体を 再構築することは、作家にとって世界を知るためのプロセスといえるでしょう。
弊廊で初めての個展となるこの貴重な機会に、是非ともご高覧いただければ幸いで す。
