三島 喜美代 個展

本展ではセラミックビラのインスタレーションを中⼼に展示。他にも60 年代の実験的な作品《Work E****》(絵画)・《Work 72-J*****》(彫刻)、80年代の貴重なセラミック・エッチングと最新作品《Work 22-CS22》・《Box Post Box 22》を展⽰。三島が⼥性としてエネルギッシュに活動してきた軌跡をご覧下さい。この機会に是非、艸居におこしやす。


1932年に十三(大阪)で生まれた三島は、50年代より伊藤継郎のアトリエに通い絵画の制作を始めます。その後は三島茂司に師事し、新聞紙、雑誌、馬券、蚊帳など、印刷物や廃材を使用した実験的なコラージュ作品に取り組みました。本展では、その中でも資料的に貴重な絵画作品

《Work E》を展示いたします。三島が日本の前衛美術において画家として頭角を表すことになった重要な作品の一つです。その後は絵画作品のみならず、廃棄された金属や木片などを組み合わせた実験的な彫刻を制作します。《Work 72-J》は、チキンワイヤーや木の枝、転写した紙などを組み合わせた、作家が試行錯誤しながらも新しい表現方法を見出していく原点となる作品です。

 

「ある日、作品を並べていたところ、どこからか猫が入ってきて、ガシャガシャーンと割っていきました。これや!と思いました。」―三島貴美代

 

60年代後半に、三島は「割れる印刷物」を発表します。それは、新聞紙、ビラ、コミックブックなどをシルクスクリーンで土に転写したゴミの作品です。情報化社会、大量消費社会への「恐怖心」を絵画で表現することに限界を感じていた三島は、落とすと粉々に砕けてしまうセラミックとの出会いにより、作家が抱えていた社会への危惧心をよりリアルに表現していきます。

 

1986-87年は、ロックフェラー財団の奨学金によりニューヨークに滞在し、アンディー・ウォーホール、ロイ・リキテンスタインなどその他多くのポップアートの作家たちと交流しました。交流はあったものの、三島は自身の作品はポップアートではないと言及しています。そこには、三島がどのグルーブにも所属せず、ひたすら自身の表現を追い求めてきた強い姿勢が窺えます。

 

三島は「ずっと続けていればいつか女性として認められる時代が来る」と、師でもあり伴侶でもあった茂司の言葉に支えられたと言います。本展では三島が画家としてキャリアをスタートさせた60年代から最新作《Work 22-CS22》や《Box Post Box 22》までを展示し、三島が女性としてエネルギッシュに活動してきた軌跡を垣間見ることができます。是非この機会にご高覧いただけますと幸いです。

 

三島喜美代(みしま きみよ)
1932年大阪市生まれ。十三(大阪)と土岐(岐阜)にて制作を行う。1954年より独立展に出展。1986-87年ロックフェラー財団の奨学金によりニューヨークに滞在。主なコレクションには東京都現代美術館(東京)、森美術館(東京)、ポーラ美術館(神奈川)、京都国立近代美術館(京都)、京都市京セラ美術館(京都)、国立国際美術館(大阪)、兵庫県立美術館(兵庫)、滋賀県立陶芸の森(滋賀)、岐阜県現代陶芸美術館(岐阜)、国立工芸館(石川)、ベネッセアートサイト直島(香川)、ファエンツァ陶芸美術館(ファエンツァ、エミリア=ロマーニャ、イタリア)、ロサンゼルス・カウンティー美術館(ロサンゼルス、カリフォルニア、アメリカ)、シカゴ美術館(シカゴ、イリノイ、アメリカ)、ボストン美術館(ボストン、マサチューセッツ、アメリカ)、大英博物館(ロンドン、イギリス)、M+(香港)、パリ市近代美術館(パリ、フランス)、ポンピドゥー・センター(パリ、フランス)、クイーンズランド・アートギャラリー(クイーンズランド、オーストラリア)など多数。主な受賞歴には独立展大阪市賞(1961年)、独立賞・須田賞(1963年)、第9回シェル美術賞展佳作賞(1965年)、ファエンツァ国際陶芸展ゴールドメダル(1974年)、第11回現代日本美術展佳作賞(1975年)、日本現代陶彫展'88金賞(1988年)、彩の国さいたま彫刻バラエティ‘96・大賞(1998年)、第19回現代日本彫刻展山口県立美術館賞・市民賞(2001年)など。2019年にはトリノ(イタリア)で開催されたArtissimaにて、Sardi per l’Arte Back to the Future Prizeを受賞。同年、芸術家としては初めての第5回安藤忠雄文化財団賞を受賞している。近年は令和3年度文化庁長官表彰を始め、第63回毎日芸術賞、令和3年度日本陶磁協会賞金賞、第11回円空賞(岐阜)を立て続けに受賞し、国内外で更なる評価を確立している。

 

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